施工実績
S邸は雛壇式の宅地に建っています。門の格子を入ると、前面の塗壁が目前に迫り圧迫感を与えていました。そこで細い竹で縦格子を組み、圧迫感の軽減を試みました。
玄関の軒内にも小庭があり角灯篭と軒下でも育つカクレミノの植栽としました。住宅に茶室が付随し建っており、にじり口や貴人口などもあり、それに合わせて飛石を打ち、蹲も設けました。植栽は桧の目隠しとモミジ、黒松、槙の木、アセビなどを選び、落ち着いた感じに仕上げました。主庭は赤松や雑木類の花木を選び、下草も山野草を用いて四季の花々を親しめるように心掛けました。
東大阪市の街の真中にあるお寺です。本堂・庫裏と開山堂の二区に渡って境内があります。街中の雑踏の中の立地であるので、境内に別世界を出現させるように考えました。お寺にお参りになる信者さんが境内の緑で心安らいでいただきたいと思いました。庫裏の玄関は松の老木とモミジの木で訪れる人を迎えます。座敷前はスペースが限られています。古い石の橋桁を延段にして用い、奥行の短い庭をその延段によって横の広がりを感じさせ、庭に少しでも広さを感じられるように作庭しました。左の角に塩釜型の水鉢を、右の角には四角型灯篭と光悦寺垣を据えて、視線を移動させてより庭を広く見せるようにしました。開山堂の庭は、鶴・亀の石組と須弥仙石組、七重の塔などの構造物で慶びを表現しました。そして東屋を設け、近くに水琴窟の蹲を組み、開山堂を訪れた人々に安らぎと潤いの空間を提供したいと思いました。
御施主は初めの造園から数年後に転居されました。庭園材料も新しいお宅に移し再造園しました。元のお宅は三角形の特異な敷地でした。座敷前に低い石垣と竹垣で仕切り、灯篭と塩釜型の水鉢で蹲を組みました。蹲組みを地面より低く据え、降り蹲としました。庭の構成を立体的にすることで、2m満たない奥行でも広く感じられるようになりました。石垣の後ろは三角形の芝の庭になっています。
新しいお宅のガレージの人工地盤の上にレンガ積みを施して、植栽と灯篭を置きました。塩釜型の水鉢は黒御影石の板の上に置きました。水を流した時、板石上が水鏡になって、水面に水鉢が浮いているように見えます。南側の主庭は芝生主体の洋風の庭園となっており、四季の草花を楽しめるようになっています。
日当たりの良い高台に建つ住宅です。従来あった庭を改造しました。在来の造園材料を生かしながら作庭しました。居間に面した南の庭と北側に坪庭があります。南の庭とは低い苔地と芝地の土盛りをして地模様をつけて、植栽と石を組みました。テラス近くには手水鉢を置き、梅ノ木の古木を添えました。西角に柏の木の下に灯篭を建て、バックに松明垣を施して一つ景色を作り上げました。全体的に大和絵の山水画のような雰囲気にして明るく華やかな庭となりました。座敷前の坪庭はブロックの塀を杉皮張の垣根で覆い、椿の大樹と蹲を組みました。山の端の椿の根元から染み出した清水を集めて蹲に導いた様子を坪庭のイメージにしました。
当邸は閑静な住宅地にあります。この庭園は、玄関、芝の庭、坪庭、台杉の庭、蹲と流れの庭、サービスヤードなどの部分に分かれています。坪庭は、鞍馬石の水鉢で降り蹲として奥深さを表現して、もう一角には大きな平石の上に五輪塔の部分品で層塔の目立物としました。台杉をバックに形の良い七重の塔を建て眺めの要としました。蹲を流れの源としてモミジの林の中を流れて行きます。水は川床を浅く表面の凹凸にそって流れ、水面に光を反射しながら流れて行きます。水のせせらぎの音や水の動きを感じられることは心にとても安らぎを与えてくれます。